ピロいとは?

ピロウズ←→スピッツを考えるにあたって、「スピッツぽさ」というのは、アルペジオ・ベースの流れ、ドラムのタム使いに顕著に現れていて、どこを反映して使えばぽくなるというのがわかりやすいんですが

さて「ピロウズっぽさ」の方はどうだろう?ここではちょっと、薀蓄を交えながら考えて見ます


まず、楽譜に詳しくなくても分かる要素を挙げると
・イントロのフレーズ・コード進行のリピートからそのままAメロに入りがち
例のタイトルをあげるまでもなくほとんどがこう。
これは、ロック曲にとって特筆するほど珍しいことではありませんが、コピーの案出しで突き合わせていたのもあり、スピッツと比べると際立ちます。
スピッツの場合は「イントロと同じ(あるいは似た)フレーズ・コード進行がサビで用いられる」「イントロがどこからも独立した固有のフレーズ」の二者が大半。イントロがそのままAメロに・・という形は「バニーガール」「夢追い虫(演奏は静かになりますがコードは同じ)」「テイタム・オニール」「春の歌」等特別にリフ強調を狙った曲(アルバム曲に多い)の時になら出る・・といった感じ。
逆に、ピロウズの曲でイントロのフレーズ・コード進行がサビでも扱われる曲は・・ちょっとすぐには思いつかないくらい、あまり有りません。「ジュリエット」がそうか。(「LemonDrops」や「Waiting at the BUSstop」みたいに、イントロもAメロもサビもほぼ似たコード進行だけで出来上がってる・・ってコンセプトの曲はありますが)。
「イントロが固有のフレーズ」なのは「ブルースドライブモンスター」「クレイジーサンシャイン」とか、これは普通に有りますね。


スピッツピロウズではここら辺がかみ合わないので、「どっちかっぽいアレンジ」をするなら、そういうとこまでも考えて作るべきか・と思ったりもします。
例えば、スピッツの曲のイントロをバッサリ切り捨ててAメロのコード進行を印象的なイントロに改造して当て嵌める・・とか。まあ、そこまでの大改造は余程自信が無いと無理ですが(汗)。


もう1つ、ピロウズに多いことに
・イントロはDコードを基調とするリフ でもキーは、Dとは言い切れない擬似G
というのがあります。「バビロン天使の詩」「Ride on shooting star」「Funny Bunny」「カーリィ・ルディ」「トリップ・ダンサー」「RUSH」・・Dコードで始まる曲はほとんどじゃないかというくらい。
あとそういった曲に頻出するのが、前にもコードの話で出したことがありますが
G F#m(orF#)Bm D(orEm) G A D
といったコード進行(バビロン・カーリィではサビ。Ride・FunnyではBメロ)

詳しい説明は省きますが
G F#m(orF#)Bm D(orEm) G A D
教科書的に見れば、このコードたちはキーDとしてみれば破綻がなく、キーGとしてみるとイレギュラーがある(本来あるべきC音が無く、AやF#m等、C#音が居座っている)んですね。それでいて、どう聴いても「Gから始まりDで盛り上がっている」”キーG的感覚”で出来上がっている
"キーDのシステムを借りながら、キーGを謳歌している”
みたいな?

(以下、面倒なので「キー=G 及びトニックG ドミナントD」の前提で書きます)
キーGなら本来Cである音をC#にしてしまう・・というのは、G→Cという「トニックからの五度進行」という重大技を封じる事でもあるんですが。
まあ、これはもう、G→C→DとG→Am→DとG→A→Dだったら、多少イレギュラーでも俺は断然G→A→Dが好きだね!というレベルの、好みや感性のハナシです。実際聴いたり弾いて見るとわかりますが、G→A→Dには確かに気持ちのいいものがあります(ちなみにこちらはA→Dの部分が”ドミナントへの五度進行”になる。「一番盛り上がるのがドミナントであるDの部分なのだから、景気付けに五度進行で‐それもAmでなくメジャーコードで‐行こうや!みたいな精神)。


ついでに言うと、ハイスタンダードの「STAY GOLD」のイントロ&サビも
G F# Bm D G A D  進行です
「バビロン天使の詩」のサビを想像しながら聴いてもらう(あるいは逆)とわかるかと。多分、ピロウズ以外でもそう珍しい進行ではないのかと。


いっそ、スピッツの曲から、このピロウズ定番コード進行に変えられそうなのを・・という選び方もありかな?とも思ったりも?