BANDアレンジ 初手
ここでは、自作の「Because I Love You」(以下「BILY」)のアレンジを通して、バンドアレンジの初歩の解説などをやっていきます
■■ 着想 ■■
まず最初に曲を選ぶわけですが、これはまあ、世の中の「そういうアレンジ曲」にも見られるように「激しめでない曲を激しめにする」事を念頭に置くのが無難でしょう。そういう曲が実際多くあるのでイメージや参考にも困りませんし。
ギター演奏の知識が有る事を前提で進めますが。ギターの「激しい演奏」というのにも色々有って、パンク・メタル・ギターロック・etc... この辺の選択は個人の趣味で。聞いただけのイメージよりはもちろん、実際に多少弾けたり譜面が複数有ったりするとよりよいです。
「BILY」は、その前に「SMILES and TEARS」をパンクバージョンで発表していたため「こっちはパワーコードよりストローク主体でギターバンドっぽく」を主眼に置いていました。
■■ 1 ■■
曲とジャンルを決めたら、まずは大体のテンポ・リズムパターン・奏法を選びます
・テンポ
先に述べたように、速くするのがセオリーではありますが「メロディも演奏も速くする」のか「メロディはそのまま、演奏で激しさを高める」のか。といった違いがあります。
例として、「BILY」ではメロディ部分はむしろ原曲より遅くなっています(MOTHR2内でのフォーサイドでのアレンジも同じですね)(すみません、確認したらどちらも早まってました;)。
これは、実際にメロディを(演奏や打ち込みなどで)速くして聞いて判断するとよいでしょう。「BILY」の場合、冒頭やサビのメロディが長音符気味ですが、”中盤のメロは速くなるとせわしない””むしろ、長音符の間を演奏隊が鳴るのがいいのでは?”という観点です。
※テンポは二倍以上になってますが、同時にメロディを「二倍の長さの音符」にしてあるので、実際はちょっと早くなった程度
・リズムパターン
ここでの選択肢は「原曲を活かす」か「無視するか」です。「BILY」原曲のリズムは終始一貫して
ピアノ「タツタ タツタ 」
ベース「ズズ ズズズ ズ」
の繰り返しになっています(↑画像参照)。結論から言うと、これは無視しています。
※↑ピアノ演奏の強調部を反映した場合
そのまま反映すると「タツタ 」だけで一小節に換算されるのですが。この四分のオモテ強調のリズムを活かすと単調すぎるきらいがあります。テンポ184という速さなので、単調=シンプルとしてそのまま押し切るのも無くはないのですが。
先にあげた「長音符の間を演奏隊が鳴るのがいい」という発想の方を活かすために、これは反映しない事になりました。
結論として、「ギターロックっぽいリズム」の中から「8分ストローク・シンコペーション」を選びました(実際の「BILY」のイントロ・Aメロで鳴っている「ジャージャジャージャジャジャ」の太字部分を「シンコペーション(リズムのズラしの一種)」と言う)
※これで小節中間ではギターの強調部がオモテからずらされ、メロディと重なりが減りました。強調部の重なりを減らすと、それぞれの楽器・パートが独自に動いてる感覚が拡がります
・奏法
奏法のメインは↑の「ストローク」にしはしましたが、かといって全体をストロークで通すのは単調です。なにか、ウリや印象になるような奏法をフィーチャーしたい。
奏法というのはそれこそ「パワーコード」「カッティング」「アルペジオ」「単音フレーズ」「速弾き」等多種多様ですが、曲のジャンルで選びましょう。どれかに限定せずとも、どんな技も多かれ少なかれ曲に使われてはいます。
これは、聞いてきた曲や学んだ譜面等で一定の先入観や偏りができます。それに身を任せるも、任せないもよし。「〜〜っぽいアレンジ」というのが明確なネタであれば、わざとらしくするのもよいでしょう。
「BILY」アレンジでは特定のバンドを目指してはいなかったので、Aメロ・Bメロ・サビで「あんまりコンセプトの無い、あくまで素人ギターロックレベル」のように選択してます。Aメロはストローク主体。Bメロはベースとシンクロしたアルペジオ風低音部と、二回目で入ってくる賑やかしな高音アルペジオ。
※赤部分が左ギターとベースのシンクロ スライドを絡めるためベースのポジションが高くなってますが
サビではあまり音を動かずカッティングキープ。ところどころパワーコードで音移動 といった具合。大したアイデアは入っていないのですが、Bメロ突入前の単音シンクロ(BILY動画で0:22〜23の部分)がかなり「かっこつけ」になってる分で助かっているかも?
※シンコペーションの位置でG音強調(ソ=画像では一番下の弦の”3”がそれ)がミソ。 単音フレーズながらコードD→Gへの移動感を出す狙い
次はバンドスコアを交えながらもうちょっと細かく解説したいです。